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東京都品川区の小児科医区議会議員が、小児科外来最前線からみた品川の小児医療、子育て支援について語ります。
 最終日は神戸市役所で、防災教育の普及について神戸市消防局予防課の担当の方からお話を伺いました。

 いうまでもなく、神戸市は1995年1月17日、阪神淡路大震災の直撃を受けた地域です。まず、このときの生々しい被災現場のスライドを見せていただきました。
 神戸市は、震災発生後14分間に54件の火災が発生したそうです。そのため、神戸市の消防だけでは対応できず、市民の活動が大きな力になったそうです。

 しかし、このとき、資材とリーダーが足りなかったことから、震災後「自助」=自らの命は自らで守るために、自主防災組織が立ち上げられたのだそうです。その自主防災組織、「防災福祉コミュニティ」(略してBOUKOMIというのだそうです)について、詳しく説明していただきました。

 私は本年8月22日(土)に仙台で行われた外来小児科学会でも、東北大の減災教育活動についての講演を聴きました。今回、神戸消防局の方のお話も聞いて、やはり地域での取り組むことの重要性について認識を新たにしました。

 地震はいつ来るか、わかりません。また、想像を絶する規模で防災対策を凌駕するかもしれません。しかし、それでも被害を最小限にするために、地域を守るために、地道に防災活動は作り上げていかなければなりません。自らは何にもしないのに、文句ばかりは一人前の半大人も増えました。大崎中で行われた防災訓練でもお年寄りの姿が目立ちました。

 私も区議として、医師会会員として、防災活動には積極的にかかわっていかなければならないと決意を新たにしました。



 翌10月28日(水)は、福岡市から九州新幹線、鹿児島本線を乗り継いで、下関市に移動しました。下関市役所で、下関市コミュニティ・スクールと情報モラル教育について、担当の方からお話を伺いました。

 まず、下関市教育委員会教育部学校教育課の方から、下関市コミュニティ・スクールについて説明を受けました。下関市コミュニティ・スクールとは、学校の運営に教育委員会から任命された保護者や地域住民、学識経験者などが、一定の権限を持って係わる学校のことだそうです。これらの保護者や地域住民が、各学校ごとに学校運営協議会を結成し、学校に係わります。

 さらに、地元企業、地域団体、ボランティアの人などが、学校応援団を作り、学習支援、環境支援、安全支援などに協力するのだそうです。子どもたちと地引き網をしたり、稲刈りをしたり、プール掃除を手伝ったり、山登りに付き添ったり、交通安全の安全員、伝統の踊りを復活されたりと、学校応援団のさまざまな活動がスライドで示されました。

 また、逆に学校の方からも、学校の教室の一部を地域に開放し、先生が教養講座を行ったり、住民のサークル活動に場を提供したり、生徒が地域に出て行って、地域のゴミ拾いをするなど、学校を拠点に地域が活性化する取り組みが紹介されました。素晴らしい取り組みだと思いました。ただ、このような活動は、中心になって行う人はいないと形骸化していってしまいます。

 下関市コミュニティ・スクールでは、市から委託された「コーディネーター」という人が、学校間、学校運営協議会と学校応援団、地域との連携などを取り仕切るのだそうです。

 地域の連帯がうすれ、孤立した家族、お年寄りが増えている品川区でも、学校を起点に地域の結びつき、活性化が強まればよいと思いました。(品川区でもさまざまな取り組みがなされていますが)



 次に教育委員会学校安全課の方から、情報モラル教育についての説明を受けました。
 今、携帯電話の浸透は中学生は言うに及ばず、小学生にも及んでいます。下関市の教育関係者の方も、たびたび携帯電話、スマホについて啓発活動や研修会などを行っているようですが、なかなか効果があがらないようです。

 ケータイ・スマホの問題は、子どもに対する対策のみでは全く不十分です。まず、大人に対する取り組みが必要です。深夜、ベビーカーを横に置いて、携帯電話に夢中になっている大人をみたりします。

 それこそ、社会ぐるみでケータイ・スマホ中毒の大人から何とかしないと、子どもは救われません。

 身近の患者さんに注意を喚起する。自分の身の回りからケータイ・スマホについて、しっかりした啓発活動に取り組もうと考えています。

 次に、佐賀県健康福祉本部障害福祉課の地域生活担当支援担当の方から、佐賀県の発達障害者支援施策について、お話を伺いました。

 佐賀県の発達障害者の支援方針は、佐賀県を分割し、障害保健福祉圏域ごとに支援体制を整える。ライフステージに応じた一貫した支援を行うために、保健師や保育士、支援員などに対し、きめ細かい研修を行う。

 研修を受けたスタッフによる、早期発見のための自閉症スクリーニング、親へのカウンセリング、療養指導教室(わくわくキッズ)、年少児の親に対するペアレントメンター(研修を受けた助言者、障害児の親など)による支援、特別支援教室、フリースクールSAGA、さらに大学生などに対するインターンシップなど、時系列でさまざまな支援を用意する、というものでした。

 障害児に対しては、やはり親への支援が決定的に重要と思われます。障害を受け入れない親、逆に思い込みが激しい親など、親に対する適切な支援が大切です。また、障害者に対する支援は、本人、保護者とともに周囲の人々に対する啓発、支援も重要です。周囲の人々の温かい理解と支援が障害児家庭にはどうしても必要です。またその一方、障害特性に対する、個別の対応も重要です。

 私は厚生委員会4年間の行政視察で、さまざまな障害児に対する取り組みをみてきました。今回の視察では残念ながら、担当の方のお話だけで終わりましたが、次回はぜひ、実際の支援の場を見学させていただきたい、と思いました。

 10月27日(火)から29日(木)まで行われた、文教委員会行政視察について、日を追ってご報告いたします。

 10月27日(火)は、恒例の羽田空港からまず全日空便で福岡空港に飛びました。その後、かもめ17号に乗って佐賀県庁に移動し、県庁内で保育士人材バンク、発達障害早期支援施策について、それぞれ担当の方からお話を伺いました。

 まず、佐賀県くらし環境本部こども未来課の子育て支援担当の方から、佐賀県保育士・保育所支援センターについてお話を伺いました。

 佐賀県は、①合計特殊出生率が1.63と高い(全国6位)、②出生時に占める第3子以降の割合が高い(全国2位)、③三世代同居率が高い(全国9位)、④共稼ぎ世帯率が高い(全国8位)という特徴があるのだそうです。
 さらに年次別では、平成17年から平成27年までみると、①未就学児数は49860人から44761人に約5000人減少、②入所児童数は18811人から22011人に増加、③保育所等定員は19175人から23479人に増加、④保育所定員が保育所入所数を上回っている、ということでした。

 品川区では考えられない、入所希望者より保育所定員が多いという恵まれた環境ですが、それでも佐賀市、鳥栖市などでは、施設の面積不足、保育士不足のため、待機児童が平成26年4月には50人も出たそうです。
 
 そこで、佐賀県はまず、幼稚園を認定こども園に転換する施策を進め、佐賀県は平成26年度まで人口10万人あたりの認定こども園数が全国1位だったそうです。

 また、保育士の就業を増やすために、佐賀県保育士・保育所支援センターを立ち上げ、就職面談会を定期的に行ったり、保育士養成短大と連携して、短大OBを起点に彼らのネットワークを利用して学生の就職などに活用しようとしているそうです。

 お話を聞いて、品川区の厳しい待機児童の状況とは異なる環境ですが、保育士の養成短大に働きかけを行うなどの取組は、品川区の待機児童対策にも役に立つと思われました。

 品川区は介護専門学校があります。これに保育専門学校を併設するよう、一般質問で私は要望しましたが、今後もさらに保育系学生をどのように、品川区の保育所に確保するか、より深く検討していきたいと思いました。

 10月31日(土)、大崎中学校で開かれた第2回地域健全育成協議会に参加しました。

 この会合は、地域の防犯、安全、子育てに関する学校、地域の取り組みについて話し合うため、品川児童相談所、地域センター、近隣小学校の校長、PTA、児童センター、町会関係者、警察、区議会議員などが集まって開かれるもので、前回は6月20日に「いじめについて」というテーマで話し合いが行われました。

 今回は「薬物乱用」についてというテーマで、品川学校薬剤師会の宮本千津子薬剤師が、実際小学校で行っている薬物乱用の教材(パネル)を示しながら、講演されました。

 薬物の乱用は最終的には廃人になる恐ろしい行為です。検挙人数は減少していますが、潜在化してむしろ広がっている状況のようです。

 快楽、怖いもの見たさ、背伸び、性的な興味、交友関係など、薬物が青少年に広がっていく背景はさまざまあると思いますが、やはり社会全体の道徳心の低下が大きく影響しているのではないかと思われます。

 悪いことは悪いとはっきりさせる(甘やかすだけでなく罰も与える)、実際の薬物依存症の末期の姿をリアルに子どもに見せる、こわいぞ、こわいぞだけでなく、正確な知識を子どもに与える(たとえば、マリファナは合法化されている国、地域もあることをふまえて、説明する)など、通り一遍でなく実効性のある対策が必要と思われます。

 今回の講演を聴いて、私も医師として薬物乱用について深く検討しなければ、と思いました。