東京都品川区の小児科医区議会議員が、小児科外来最前線からみた品川の小児医療、子育て支援について語ります。
 小児科医と地方議員は両立可能なのか。私は可能と考えます。むしろ、時代を先取りしていると信じます。

 ヒブワクチンが認可され、任意接種として接種が始まった時、地方自治体にどのように公費補助を働きかけるのか、さまざまなアプローチがなされました。2008年の外来小児科学会の「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」のミニシンポジウムでも、医師ではない地方議員の方が出席され、いろいろと献身的な活動をなさっているお話しをされていました。
また、病児保育協議会でも病児保育を守るために、いかに地方自治体と折衝するか、いかに地方議員に働きかけるのか、毎回議論が行われているのです。

 子どもを守るために、子育て中のご両親を応援するために、献身的な活動を行っている小児科医は全国に少なくありません。しかし、現実にさまざまな障壁が子育て支援を行おうとすると小児科医の前に立ちふさがってきます。小児科医はあきらめるか、構想を縮小するか、地方議員にお願いするか、いくつかの選択肢を選ばなければなりませんでした。

 その選択肢の中に小児科医自らが地方議員になる、という答えもありえるのではないか、と私は考えます。
すでに中央区では病児保育も行っている小児科クリニックの先生が区議会議員として、精力的に活動されている先例もあります。
 
 小児科医が地方議員になることは、外来診療をやめて地方議員に転職するわけではありません。従来通り、外来診療を行いながら、議会があるときは、議員として公務にあたる。このような活動スタイルもありえるのではないか、と考えます。

 地方議員は定例議会と臨時議会で活動します。これは大切な公務であり、そのための準備、研鑽は大切です。しかし、一般診療の中で、ご両親やお子さま自身からさまざまなお話し、要望、問題点をお聞きして、それを区政にフィードバックさせることも大切なことです。医療、子育てに特化したスペシャリストの地方議員がいてもよいのではないか、と考えます。地方議員がみな普通に職を持ち、生活者として、議会に臨むことが私には地方自治そのものに思えるのですが。

 私は小児科医として、つねにこどもの視点から世の中のことがらを見ています。
 次代を担う品川の子ども達を愛情をもって見守る。そして懸命に子育てをされているご両親を支えることが小児科医の仕事だと考えています。

 開業して12年間、地域の小児科医として、ワクチン、病児保育、男女共同参画、育児支援事業など、さまざまな要望を行政に行ってきました。その中で痛感したことは、これらの施策を実行に移すためには、区政の中に小児医療、子育て支援に精通したエキスパートの存在が絶対に必要だということでした。

 それで、私は鈴木博の政策集としてまとめてみました(左リンク3番目)。一度、お目を通していただければと思います。

 自己紹介を兼ねて、まず私自身の歩みについてお話したいと思います。

 鈴木博は1952年(昭和27年)8月、品川区に生まれました。生家の鈴木の家は、品川区戸越の土着の家で、先祖が御殿山の尊攘志士によるイギリス公使館の焼き打ちを見に行ったとか、戦前は庭にはエノキの大木があり、五反田駅からも見えたほどで、残念ながら戦時中の空爆で燃えてしまったとか、いろいろな話を聞きました。

 大崎幼稚園、芳水小学校、麻布中学、麻布高校を経て、埼玉医科大学を卒業しました。大学時代の6年、大学病院勤務医時代の20年を除けば、ずっと品川区で暮らしてきました。

 1998年(平成10年)に埼玉の大学医学部小児科講師を退き、故郷品川に戻って来た時、私は本当に子どもと母親に優しい、小児科医の理想とする小児科クリニックを立ち上げてみたいと思いました。品川で質の高い医療を行い、さまざまな母と子どもに子育て支援が行える、小児科クリニックを作りあげてみようと決意したのです。

 鈴木博の思いを込めて開院した「鈴の木こどもクリニック」は、1998年(平成10年)11月、一般小児科診療と予防接種、乳幼児健診を始めました。鈴の木こどもクリニックは、その後は皆さまのご存じのとおりで、沢山の地域の親子にご来院いただき、順調に発展しました。

 さらに進んで、赤ちゃんの皮膚のトラブルやアトピー性皮膚炎のお子さまに対する東邦大学大森病院皮膚科専門医による「小児皮膚科専門外来」、子どものこころの問題を扱う臨床心理士の「子どもの心の健康外来」、管理栄養士が直接ご相談に応じる子どもの食物アレルギーと生活習慣病に対する「食育栄養外来」など、次々とさまざまな専門家を配した専門外来を新設し、幅広くお母さま、お子さまのニーズにお応えしてきたのです。

 クリニックの中だけでなく、院外での子育て支援にも力を注いできました。1998年開院以来、ご両親向けの「母と子どもの講演会」を毎年開催し、インフルエンザやワクチンに関する啓発を行い、教育専門の大学名誉教授や医学部準教授などの専門家も招き、特別講演も行っていただきました。また、清泉女子大学の土曜自由大学の講師として子育てについて講義もしました。

 2005年(平成17年)には病気の子どもを預かり、働く親の就労を支援する、病児保育キッズベル品川の運営を品川区の委託事業として始めました。現在までにのべ3000人の子どもをお預かりしています。

 また、保育園医や区の子育て事業にも協力、品川区の講演会の講師や「すこやかダイアリー」の編集にも協力しました。

 医師会診療所の休日診療、土曜夜間の子ども夜間診察室にも出動しています。   

 昭和大学の研修医、医学部3年生、外来小児科学会の医学部学生実習を担当し、医師、医学生の教育にもあたっています。(昭和大学客員教授に任命されています)

 品川区の男女共同参画行動計画推進会議の学識経験者委員に委嘱され、品川区の共同参画社会の実現、ワークライフバランスの実現にかかわってきました。

 育児雑誌などで、医療記事、子育て記事の監修を多数行ってきました。新聞等、マスコミの取材にも協力してきました。文教大学の地域広報誌に2年間子どもの健康について連載を行いました。

 監修書に「赤ちゃんの病気けがトラブル救急箱」「はじめての育児百科」などがあります。

 2009年度品川区功労者表彰を受賞しました。
  
 これがこの12年の鈴木博の歩みです。品川区戸越にクリニックを開業して以来、一貫して高質医療・子育て支援に邁進してきました。ひたすら、地域の母と子のために力を注いできました。

 しかし今、私は自らが決断し、次の活動へ踏み込むことが必要な時が来たと感じています。それについて、今後、詳しく述べていきたいと思います